|
この駅を訪れたのは、出雲から三次へ向かう途中、木次線から芸備線に乗り換えの為だった。1月1日。出雲横田発17:17着。雪は島根側からひき続き、深い。
初めて訪れる駅。『ジャンクションだからなにか駅に併設された施設ぐらいあるだろう、暖を取ろう』そう多寡をくくっていた。
一緒に木次線から降りたのは、横田からの父子連れと三井野原からの若者。
最初に抱いた感想は『なんじゃこりゃ』。―――無人。
駅母屋にあるものは、待合室、椅子、雑記帳。壁の指名手配犯のポスターが殺伐さを増す。『こんな何も無い所からもお前らは逃げられないのだぞ』と。ならばこのストーブ一つ無い寒さは、我等に課せられた罰なのか。
駅前には理髪店。無論正月なので営業していない。
雑記帳をみる。『せめて自販機を』『西条町は責任を持ってストーブを設置せよ』島流しされた囚人の断末魔のようだ。日付も新しい。 父子連れが寒さを庇い合う。どこか所在無げな若者。
――およそ30分。三次行の入線。備中神代からも一両到着し、俄かに活気を帯びる駅。父子連れと共に三次行に乗り込む。若者の姿は無い。
この、ただただ『繋ぐためだけに』在る駅を私は忘れないだろう。その存在そのもの故に。―――17:53発。
大阪府 20代 男性 酢清
様より 03.01.03 |